海と響さんと美音さんの過去

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****** 「響さん。」 「何だ?」 「話があります。」 「…何のだ。」 「美音さんとのことで…。」 「分かった…。」 私は夕食の後、早速響さんを話に誘った。 取り敢えず響さんが断らなくて良かった。 ……ちゃんと話さなきゃ…。 これ以上私がチャンスを潰すわけにはいかない。 「椿。」 「はい。」 「場所移動するぞ。」 「別にここでも…。」 「風に当たりたい。」 そう言って響さんは歩き出した。 ……あれ…? 少し歩くとあることに気づいた。 「響さん。」 「何だ?」 「外いくんじゃないんですか?」 私はてっきり玄関に向かうと思っていた。 けど違ったようだった。 「…二階のバルコニーでいい。」 「え?」 そのまま響さんは階段を上っていく。 ……嫌い…じゃないのかな…? もしかしたら美音さんが早とちりしてただけたのかもしれない。 ……もしかして…もう許してたりするのかな…。 だったらすぐに解決するのに…。 そんなことを考えていると、バルコニーへのドアを響さんが開いて待っててくれた。 「入れ。」 「ありがとうございます。」 そう言ってバルコニーに出ると、心地いい風が肌をくすぐった。 ……気持ちいい。 「で、話ってなんだ?」 響さんはドア閉めて、私を見つめた。 「あの…響さんは…。」 「何だ?」 「その……。」 ……言わなきゃっ!! 「響さんは美音さんと仲直りしようと思わないんですか?!」 「…は?」 「え?」 響さんは意味がわからないといった表情をしている。 「仲直りって何のことだ?」 「美音さんが…響さんを…海で溺れさせちゃって……まだ許してもらえないって……。」 「は?」 響さんは更に意味がわからないといった表情になった。 ……あれ?……もしかして……。 「…響さん…ちょっと聞いていいですか?」 「ああ。」 「美音さんが響さんを溺れさせた時のこと…まだ怒ってます?」 「怒ってるも何も最初からなんとも思ってない。」 ……やっぱり…でも……。 「じゃあ何で謝ってた美音さんを無視したんですか?」 「…いつ謝ってたか聞いたか?」 「はい…救出された時にって……。」 私がそう言うと響さんはため息をついて、顔を片手で覆った。
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