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コンコン。
「誰?」
「俺だ。」
「……。」
「開けろ。」
「……。」
……美音さん…もうすぐ響さんがドア壊しそうです。
本当は私が美音さんに報告しに来るだけだった。
だから美音さんは二階の一番奥の部屋で、私を待ってただろうに。
多分、今美音さんはかつてないほどに驚いているだろう。
……あっ…。
「ダメです響さん!!」
「…仕方ないだろ。」
そう言って響さんはドアを蹴ろうとした瞬間、ドアが勢いよく開いた。
「……。」
「最初から開けろ。」
そう言って響さんは部屋の中に入る。
……私どうしよう…。
取り敢えず部屋の隅っこに向かい、なるべく存在を消した。
「…姉貴。」
「何?」
「俺は許してる。」
「え?」
「そもそも何も思ってない。」
「は?」
美音さんは目を見開いて、信じられないといった表情になった。
「だって…謝った時……。」
「全く耳に入ってなかった。」
「性格は?」
「友達ができて姉貴と遊ぶことがなくなってったからだろう。」
「……。」
「別に急に変わったわけじゃない。」
美音さんは隅っこにいた私の方を向いた。
美音さんが私に本当かどうかを目で訴えてきたのが分かったため、大きく縦に頷いた。
「…私…ずっと勘違いしてたの…?」
「ああ。」
「…ごめん……。」
「…謝るのは俺じゃないだろ。」
「「え?」」
私と美音さんの声が重なる。
私と美音さんは響さんを見つめた。
「…椿に謝れ。」
「…気づいてたの…。」
「え?え?」
……何のこと?
「椿からこのことを聞いてやっと分かった。幾ら何でもおかしかったからな。」
「……。」
「……。」
……もしかして…。
美音さんが響さんとの仲直りするために私を利用したことだろうか。
だったら……。
「響さん、美音さんは悪くないです。」
「多分お前が思ってることじゃないからな。」
「え?」
「…椿。」
美音さんがそっと私に近づいてくる。
「美音さん…?」
私がそう言った瞬間、美音さんが勢いよく頭を下げた。
「ごめん!」
「え?」
「私椿のこと調べてた!」
「えぇ?!」
……どういうこと…?
「響が椿のこと調べてたのとは別に私もその手の人に頼んで調べてもらってたの。」
「…えー。」
……結局私は何人の人に調べられてたんだろう…。
まだいそうで怖い。
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