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「私を…助けるために…?」
「椿をあそこから出すには結婚するしかなかった。」
「どうして…?」
「結婚でもしなきゃついてこなかっただろ。」
「それは……。」
でも…確かにそうだったかもしれない。
私はあの家が怖くて仕方なかった。
けどあの頃、生きるためにはあそこにいるしかなかった。
だからいくら怖くってもそう簡単に出て行くことができなかった。
「…何で…響さんはどうしてそうまでして…。」
「好きになったからだ。」
「…いつから…。」
「……。」
……これは教えてくれないんだ……。
「…一つ…聞いていいですか?」
「ああ。」
「私は…あの人に似てるんですか?」
「…瓜二つだ。」
「…そう…ですか……。」
……今は…それだけでいいや……。
「…響さん。」
「何だ?」
「いつか…聞かせてください…私のことをどうして知ったのか…いつからなのか……。」
「…いつか…な…。」
そう言って響さんはまた私を強く抱きしめた。
自分でそうした部分はあるけど、このなんとも言えない暗い雰囲気に私はだんだん耐えられなくなってくる。
……なんか話題ないかな…。
そう思っていた時だった。
「椿!あと響も!」
「っ!」
美音さんが勢いよくドアを開けて入ってきた。
慌てて響さんから離れようとするも、ガッチリ響さんが抑えてたため、離れられなかった。
「…何だよ姉貴。」
「ちょっと聞きに来ただけ。」
「何をだよ。」
……響さん…いつ離してくれるんだろう。
正直もう恥ずかしすぎて死にそう。
しかし、美音さんの一言によってそんな思いは一瞬にして消える。
「花火やる?」
「え?」
胸が高鳴る。
心なしか顔も熱くなったように感じる。
「どうしたの?椿。」
「あの、花火ってあの花火ですか?!」
「手に持つやつね。」
「線香花火ありますか?!」
「あるわよ。」
「わぁっ!」
両手を握って喜んでいると、美音さんが少しだけ顔を赤くした。
「?どうかしましたか?」
「椿…私はまだいいけど…。」
「?」
「響には結構やばいかも。」
「え?」
美音さんが響さんを苦笑しながら指さす。
それにつられて響さんの方を向くと、響さんは顔を赤くして私を見つめていた。
「え?え?」
……私…何かしたかな……。
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