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「私先行ってるから後で来てね。」
「え?あっ、美音さん……。」
……行っちゃった。
パタンとドアが閉まる音がやけに大きく聞こえる。
「…椿。」
響さんの手に顔を包まれ、響さんの方を向かせられる。
完全に目が合った状態で固定されて動けない。
「んっ!」
……またっ?!
本日三度目のキスに体が強ばる。
「やっ、んん…あっ。」
息を吸おうとして少し口を開いた瞬間、響さんの舌が一気に入ってきた。
舌を捕えられ、頭が真っ白になる。
「ひ、ひび…き…さん…。」
このままだと倒れそうだったため、響さんの胸を叩いた。
すると響さんは私から唇を離した。
……助かった…。
けれどホッとしたのも束の間、
「ひゃっ!」
響さんが私の首筋を舐めた。
「響さん!」
「…嫌だな…。」
「え?」
「花火やったらまた笑うんだろう?」
「へ?」
……どういうこと…?
「拓磨や真司に見せたくない。」
「??」
「可愛すぎてあいつらに見せるのは勿体ない。」
「えっあっその、えっと……。」
真顔で爆弾発言を落とす響さん。
私は一気に顔に熱が溜まり、もう少しで爆発してしまいそうになった。
「でもやりたいんだろう?」
「…はい。」
「じゃあ行くぞ。」
そう言って響さんは私の手を握った。
「あっ、お前ももう戻るぞ。」
「ワンッ!」
……響さんとわたあめ仲良しだなぁ……。
ちなみにわたあめはずっとバルコニーの手すりに頭を挟んで遊んでたみたいだった。
「キャンッ!ワンワン!」
「落ち着け。」
……意外と響さんわたあめの面倒みるんだよね……。
そう思っていると、響さんがドアノブに手をかけた。
すると響さんがドアを開けた瞬間、もの凄いスピードでわたあめは走っていった。
「えー。」
「あいつ虎の血でも混じってるのか?」
「それはないですよ。」
響さんの発言につい笑いそうになった。
「そういえば椿、花火やったことあるのか?」
そう言いながら、ゆっくりと響さんは歩き出した。
「おじいちゃんとおばあちゃんが昔やらせてくれました。」
「線香花火が好きなんだな。」
「好きすぎて一回落ちた玉触って火傷しました。」
「……。」
「どうかしましたか?」
「頼むから触るなよ。」
「さすがにもうやりませんよ…。」
「高確率でやるな。」
「やりません!」
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