海と響さんと美音さんの過去

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私はしばらくわたあめを見ていることにした。 ……可愛い…。 そう思っていると、 「ん?」 あることに気がついた。 「どうした?」 「いえ…その…あれ…。」 私が指をさした方向。 そこにはこちらに向かってくる船が見えた。 「…ここって…。」 「ああ。桂木財閥が所有するプライベートビーチだ。」 「ですよね…。」 明らかにこっちに向かってるのがわかるその船。 隣を見れば響さんがもの凄い嫌そうな顔をしていた。 ……てことはやっぱり…。 間違いない。 だって響さんがもう鬼と化してるもん。 そんなのお構いなしにどんどん近づいてくる船。 私と響さんはその船が止まるまでただ見つめていた。 ……来た。 船を下から見上げれば人影が見える。 ……あれ?三人いる。 「椿~!」 あっでも間違ってはない。 ボケーっと自分の名前を呼んだ人物を見ていれば、その人物が凄い勢いで船から降りてきた。 「やっぱりその水着似合ってるわね~!」 そう言って抱きついてくるのは…、 「美音さん…。」 「来ちゃった。」 「……。」 ……美音さん…今私の後ろにいる響さんはどんな顔をしていますか? 背を向けているのになんかもの凄い威圧感を感じる。 「姉貴…。」 「何?」 「帰れ。」 ……怖い。 「お?相変わらず仲良いね~お二人さん。」 「仲良くは見えないけどね。」 「え?」 突然知らない声が聞こえ、私は声がした方を見た。 「えっと…。」 船から降り、こっちに近づいてくる二つの人影。 体格からしてどうやら二人とも男の人らしい。 「誰…?」 「あー!君が噂の椿ちゃん?」 「わぁ、可愛い。」 ……何で私の名前…。 男の人達は美音さんの横に並んで立ち止まった。 「椿!紹介するわね。この二人は私と響の昔からの友達。」 「友達…ですか?」 「そう。私の隣にいるのが菖蒲 拓磨。その隣にいるのが花野井 真司。」 「やっほー。」 「はじめまして。」 「は、はじめまし…てっ?!」 突然頭になにかがかかった。 「お前ら…。」 「えーもう見納め?」 「当たり前だ。」 見てみれば頭にかかったのは響さんが羽織っていた上着だった。 「それ着てろ。こいつらにはもう絶対見せるなよ。」 「…はい。」 慌てて上着を羽織れば響さんがもの凄い嫌そうな顔を美音さん立ちに向けていた。
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