1263人が本棚に入れています
本棚に追加
「姉貴はまだしも…なんでお前らまで……。」
「だって響が惚れた子だよ?会いたいじゃん。」
「そうだよ。響ずっとうるさかったでしょ。大学いた時なんか何回も椿ちゃんの名前呟いてたし。」
「え?」
「ちょっと待てお前ら。」
響さんを見れば珍しく慌てた様子だった。
「あの時は面白かったな~。」
「うん。」
「あ、あのっ。」
「ん?何?」
「どうかした?」
「えっと…その……。」
皆の視線が私に刺さる。
特に響さんの視線がもの凄い。
……気になったことがあったんだけど…聞いていいのかな?
響さんはさっき話を止めようとしていた。
なのに私が話に参戦してしまっては余計に響さんが……。
……でも…今聞かなきゃ…一生わからないかもしれないし。
……響さんには悪いけど聞こう。
「あの…拓磨さんと…真司さん?」
「うん。」
「はい。」
「響さん…その…大学の時って……。」
「ああ、ずっと椿ちゃんの名前言ってて他の生徒がビビるくらいだったよ。」
「地味に苛立ってたしね。」
「いや、そうじゃなくて……。」
「「え?」」
「響さんがその…大学生だったのって二年前まででしたけど…その時から響さんは…私のことを?」
「「あっ。」」
「……。」
「ブッ。」
もの凄い顔をした響さん。
そして「やってしまった」という顔をしている拓磨さんと真司さん。
笑いが堪えきれなくなった美音さん。
……何この状況。
どうして私はこんな状況にしちゃったんだろう。
「拓磨…真司……。」
「「はい。」」
「それと姉貴。」
「えっ?!私も?」
「当たり前だろ。」
響さんは鬼を通り越して般若になっていた。
……出会った時以来だな…この顔みたの……。
私はただ見ることに徹することにした。
「響…でもいつかわかる事だったろう?」
拓磨さんが苦笑いを浮かべながら響さんに声をかける。
隣にいる真司さんは我関せずといった感じが海を見ている。
……真司さん…助けないんですか?
拓磨さんは響さんに睨まれて固まっている。
しばらくこの状態が続いていると、突然海を見ていた真司さんがギョッとした顔になった。
響さん達もそれに気づいたらしく、真司が見ていた方向に目を向けた。
……どうしてああなったの?!
その方向には何故か大きい魚らしき物体を咥えながらこっちに向かってくるわたあめがいた。
最初のコメントを投稿しよう!