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「美音さん。」
「椿っ。私と遊びましょ。」
「え?」
「……。」
「えっと…。」
美音さんは満面の笑みで私を見ている。
一方響さんは何か悩んでいるような顔をしている。
……どうすれば…。
「響!美音さんと遊んだ方が椿ちゃん楽しいと思うぞ。」
「そうだよ。響、海で遊んだことほとんどないじゃん。」
「あるだろ。」
「ずっとパラソルの下にいたけどね。」
「……。」
……響さんも…海での遊び方わからないのかな……。
でも確かに響さんが海で遊んでる姿を想像できない。
「響だって楽しんでる椿が見たいでしょ!」
「…わかった。」
そう言って響さんは私を解放した。
すぐさま美音さんが私の腕を掴み、海まで走っていく。
「椿!遊ぶわよ~!」
「え?えっと、キャアッ!!」
美音さんは私の掴んでいた腕を回し、その勢いで私を海に投げた。
「っ!姉貴!」
「まぁまぁ響。遊んでんだから。」
「響は心配しすぎ。普通の子はあんな感じで遊んでんだよ?」
「……。」
「プハッ!」
……しょっぱい……。
「フフッ。椿凄い顔。」
「え?!」
「ほら立って。」
「ありがとうございます……。」
美音さんは私を立たせると、一旦船の中に戻って行った。
その隙にわたあめが私に近づいてきて、私の周りをくるくると回っている。
「ワンッ!」
「楽しいね。」
パシャパシャと海水をかければ楽しそうに飛び跳ねた。
「ちょっと響さん楽しそうですな。」
「椿ちゃん可愛いね~。」
「……。」
「椿~。これ受け取って~。」
「え?」
美音さんが船から何かを落とす。
落としたものに近づいてみると、それは浮き輪だった。
「わ~初めてこんな近くで見た。」
「あ、やっぱ椿使ったことない?」
「はい。学校のプールで持ってきてる子はいたんですけど……。」
「そっか。じゃあ取り敢えずそれ使って深いところまで行こっ!」
「はいっ!」
「あっわたあめは……。」
そう言って美音さんはまた船の中に戻って行く。
しばらく経ってから美音さんは海に飛び込み、私とわたあめのところへ来た。
「はい、これ。」
美音さんは何やら犬の服のようなものをわたあめに付けた。
「美音さん…それは…?」
「ん?これは犬用の浮き輪よ。」
「そうなんですか。」
「さっ、準備できたし、行きましょっ!」
「はい。」
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