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「…拓磨さん…真司さん…大丈夫ですか?」
「「……。」」
「アッハハハハハ!」
「……。」
死にかけている拓磨さんと真司さん。
それを指さして笑ってる美音さん。
それを見ないよう視線を逸らしてる響さん。
またもやよくわからない状況になってしまった。
……もう何もしないのが得策なのかな…。
「ハァ…。」
響さん達にわからない程度の小さなため息をつく。
現在私達は響さんや美音さんの別荘にいる。
何でも至る所に別荘があるらしく、それぞれ使う人が違うらしい。
……でもさっき響さんと美音さんのって言ってたよね…。
共同で使ってるのかもしれない。
取り敢えずそれで納得する。
全員遊びすぎてお昼を忘れてしまったため、ちょっと軽いものを食べようとなって、全員別荘の椅子に座っていた。
先程の状況で。
……それより…。
チラリと響さんに視線を向けると凄い拗ねた顔をしていた。
それはおそらく…。
「響さん…あの…。」
「……。」
「あれは事故です。」
「そうか。」
「いや~あれは面白かった。」
美音さんは涙を溜めて笑っている。
……多分笑えるの美音さんだけ…。
そう。
あれはもう本来誰も笑えないほどの出来事だった。
「あ~何かやっと意識が…。」
「僕も。」
「アハハ!見事に顔面当たってたもんね。」
「……。」
「……。」
二対二で行ったビーチバレー。
美音さんは審判。
響さんの指名により、拓磨さんと真司さんがペアになって、私と響さんのペアと戦った。
…戦ったと言ってもあれは最早ただの一方的な攻撃だったけど…。
どうやら響さんは二人の挑発にかなり腹が立ったらしく、思いっきり二人の顔めがけてサーブを打った。
そのせいで開始から約三分で終了することに…。
私は生まれて初めてのビーチバレーが恐怖の競技として刻まれることとなった…が、それはいい。
問題はその後だった。
「…大丈夫ですか…?」
私は二人が心配になり、そばに駆け寄った。
「多分大丈夫。」
「多分ですけど……。」
私はその際、やってしまった。
私が真司さんを見ていると、隣で美音さんが上着を拓磨さんに掛けていた。
笑っていたし、多分遊びのつもりでやってたのだろうけど、その時私はそうしなくてはならないのかと勘違いしてしまったのだ。
私は上着を脱いで真司さんに掛けた。
響さんに注意されてたのに……。
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