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で、今に至る。
響さんは拗ねて話してくれない。
……うぅ。
落ち込んでいると、ドアが開く音が聞こえた。
「失礼致します。」
「あっ来た。」
執事さんが綺麗にお辞儀をしているのが見える。
美音さんが執事さんに近づいていく。
どうやら食べ物が来たらしい。
チラリと響さんを見る。
すると響さんもこっちを見ていたようで、目が合った。
けど響さんはすぐに逸らして、また拗ねた顔になった。
……どうしたらいいんだろう…。
「みんな!見て見て!」
美音さんががテーブルにドサッと食べ物達を置く。
おにぎりや飲み物、お菓子にアイスなどいろんなものが並べられた。
けどそれはいい。
ただ気になったのは…。
「コンビニのですか?」
「うん。」
……やっぱり…。
「ここに来る前に琢磨と真司と買ったの。」
琢磨さんと真司さんは分からないけど美音さんは紛れもないお金持ち。
なのにコンビニを利用してると思うと親近感が湧く。
……そう言えば響さんもあんまお金掛けたりしないよな…。
私のものには凄まじく使ってるけど。
「コンビニって便利よね~いろいろ揃ってるもの。」
……きっと美音さんって誰からも好かれるんだろうな…。
美音さんは優しいしお金持ちだからって偉ぶったりもしない。
確かにお金を使うことはあるけどそれは見栄を張ったりするのにじゃない。
……私も…美音さんみたいな人になれたらな…。
「椿。」
「あっはい。」
「どうしたの?」
「いえ…。」
「なぁ美音さん。」
「ん?」
……あっ…良かった…。
いつの間にか琢磨さんと真司は完全に復活していた。
二人共大丈夫そうなので、ホッと胸をなで下ろした。
「美音さんアイス溶けますよ。」
「ああ!」
美音さんが慌ててアイスを取り、冷蔵庫へと走っていった。
それを見送っていると、上着の袖が引っ張られた。
引っ張られた方向を見れば琢磨さんと真司が手招きした。
私はテーブルにのしかかり、琢磨さんと真司さんに顔近づける。
「どうかしましたか?」
「響どうしたん?」
「それは…。」
私は二人が倒れた後のことを話した。
話し終えると二人は納得したように頷く。
「何かごめん。」
「大丈夫?」
「多分…。」
「「頑張れ。」」
「はい。」
……ホントに頑張らなくちゃ…。
さすがに初めての海を悲しく終わらせたくない。
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