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テーブルの上に、一冊のノートが載せられた。
ミントグリーンの表紙に見覚えがある。確かこれは……。
「彼の忘れものだ。あの日、このテーブルで、僕と真一郎はずいぶんと長い間会話していたんだよ。このノートを筆談に使ってね。ここに、あいつの本音が書いてある」
わたしはくしゃくしゃに折り目のついた表紙を見つめた。
コンビニのカウンター越しに見た、輝きを失った先輩の目。
その内側に隠された思いがここに記されている。
見たいような、見るのが怖いような、複雑な気持ちだった。
「本人の了承を得たわけじゃないから、一部しか見せられないけど」
ゆっくりとページがめくられる。中には書き殴ったような文字が並んでいた。
先輩が書いた字を見たのは初めてだ。なんというか、……申し訳ないけど、ひらがなが多くて読みにくい。
「ここ、見てごらん」
わたしは伸びあがるようにして、日高さんが指差した個所を覗き込んだ。
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