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 ミユキ先輩の刺すような視線を思い出すと、惨めさと悔しさで頬が熱くなった。  ――別に、いいもん。  わたしは別に、先輩の彼女になりたいわけじゃない。 『ギター、やってみればいいじゃん』  そう。  わたしはそっち側には行かない。恋愛感情なんて一時的なものだ。くだらない。彼女になったって、どうせいつか終わりが来るのだから。  わたしは先輩と同じ景色が観たい。ステージの上に立つ先輩が何を目にしているのか。わたしはそれを知りたい。その光景に出逢うためには、並んでステージに立つしかないんだ。  先輩と深くつながれる確かなもの。それはロックだ。ギターだ。先輩はステージの上で待っていてくれる。諦めずに続ければ、先を歩く先輩の背中に手が届く。いつかきっと――。 「――ほい、これ」  こめかみにひやりと硬いものが触れ、わたしはハッと目を覚ました。  ヒザに埋めていた顔を上げると、大輔が心配そうにこちらを見下ろしていた。  路上で体育座りをして項垂(うなだ)れているうちに、ウトウトと眠ってしまったらしい。
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