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「タイムリミットは発症から48時間以内とか、そういうレベルだと思う。遅くとも数週間とか」
「……」
「先輩の場合、バンドの解散が3カ月前だろ。その前から症状は出ていただろうから――」
大輔は言葉の続きを呑み込んだ。
――おそらく完治は厳しい。そう言おうとしたのだろう。
わたしはゆっくりと体勢を戻し、再びヒザに顔を埋めた。
「わたしの耳、先輩にあげたい……」
絞り出すように、わたしは呟いた。
「どうせ、わたしなんか大した曲作れないもん。だったら、わたしが先輩の代わりに――」
「そういうこと言うな」
大輔が強い口調で遮った。本気で怒っている声だった。
「ごめんなさい……」
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