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 高校一年の秋ごろ。  理科室への移動中、渡り廊下を歩いていたわたしは、校舎脇の植え込みにスニーカーが生えているという不思議な光景を目撃した。  ――あのスニーカーは確か……。  かかとを踏みつぶした革製の汚いジャックパーセル。確かに見覚えがあった。 「ごめん、ちょっと先に行ってて」  一緒に歩いていた友達をその場で見送ってから、足音を殺しながら植え込みに近づいて行く。  めいっぱい背伸びして、そっと覗き込んでみると――。 「……遊佐先輩?」 「ん、ハイ」  植え込みの陰には、遊佐先輩が仰向けに寝転がっていた。どこから持って来たのか、地面に段ボールが敷き詰められている。  立てた膝にもう一方の足を載せていたため、スニーカーが突き出ているように見えたらしい。
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