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赤門28祭りのリハーサルの日は、気恥ずかしいほどの晴天だった。
ギターを背負って会場に着いた時、通りに面した広場にはステージの骨組みがセッティングされていた。
近づいて行くと、チェック柄の衣装を身に着けた女の子たちが舞台袖に集まっているのが見えた。大須オーガニックドールズだ。
――Oh、生アイドル……。
まぶしい太ももたちに見惚れつつ、少し離れたところに立っていると、その中の一人がこちらに駆けて来た。
「こんにちは! 幸村さん」
「あ、こんにちは」
見覚えのある顔にほっと安堵する。確か名前は……そう、せなちゃんだ。
彼女が大輔の密かなお気に入りであることをわたしは知っている。奴は昔から面食いなのだ。
「同じ舞台に立てることになって、嬉しいです。よろしくね」
「こちらこそ、よろしく」
キラッキラなオーラに圧倒されてしまう。自分の服装を見下ろし、ちょっぴり後悔した。かなり気に入っているヒステリック・グラマーの古着だが、今日はもう少しきれいな格好をして来るべきだったかもしれない。
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