837人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「ドールズが好きなんだね、せなちゃん」
「うん、好き。最高のメンバーだと思ってる」
こういう世界のことは正直、よくわからない。けれど、せなちゃんの熱い思いには自然と共感できた。彼女がリーダーを務める限り、ドールズは失速せずに走り続けられる。そう感じた。
「せなちゃんは、大学を卒業してもアイドル続けるの?」
「うーん、分かんない。やりたい仕事もあるから」
「へえ。どんな仕事?」
「業種はまだ迷ってるんだけど、自分で事業を立ち上げたいの。アイドル活動と両立できれば、もちろん続けるけど」
――すごい。
「じゃあ、上京して、東京で芸能活動とかは?」
「ないない、考えてない」
「どうして?」
「それは――」
迷いなく、彼女は答えた。
「この街が好きだから。ドールズはここで大きくなっていかなきゃ。大須の街から発信して、どんどん輪を広げていくつもり。わたしたちが欲しいなら、逆に『東京が来い』だよ」
そう言って、彼女はドキッとするほど魅力的な笑みを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!