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「ドールズが好きなんだね、せなちゃん」 「うん、好き。最高のメンバーだと思ってる」  こういう世界のことは正直、よくわからない。けれど、せなちゃんの熱い思いには自然と共感できた。彼女がリーダーを務める限り、ドールズは失速せずに走り続けられる。そう感じた。 「せなちゃんは、大学を卒業してもアイドル続けるの?」 「うーん、分かんない。やりたい仕事もあるから」 「へえ。どんな仕事?」 「業種はまだ迷ってるんだけど、自分で事業を立ち上げたいの。アイドル活動と両立できれば、もちろん続けるけど」  ――すごい。 「じゃあ、上京して、東京で芸能活動とかは?」 「ないない、考えてない」 「どうして?」 「それは――」  迷いなく、彼女は答えた。 「この街が好きだから。ドールズはここで大きくなっていかなきゃ。大須の街から発信して、どんどん輪を広げていくつもり。わたしたちが欲しいなら、逆に『東京が来い』だよ」  そう言って、彼女はドキッとするほど魅力的な笑みを浮かべた。
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