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大輔の言ったとおりだった。
先輩はもう歌えない。ギターを鳴らすこともできない。
何かの間違いであってくれたらと繰り返し願った。わたしと大輔の早とちりであってほしいと。けれど、――こうしてつきつけられた事実を、もはや受け入れるしかない。
「どうにか、ならないんでしょうか」
絞り出すような声で、わたしは言った。
「治せる病院は、本当にないんでしょうか。もしかしたら、海外とか……調べれば、何か方法が見つかるかもしれないのに。今みたいなひどい生活してたら、きっと余計に悪化しちゃう。先輩のおうち、お金持ちだし、相談すればきっと――」
「それが一番いいと、僕も思うよ」
日高さんは頷いた。
「真一郎も、本当は親に頼りたいと思ってるようだし」
「え……」
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