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海路
「おいおい!本当にこっちであってんのか!?」
「大丈夫だ俺の記憶は正しい!!絶対にあってる!」
出航してから三時間が過ぎようとしている
千沙と連は交代で運転するため今は睡眠
俺たちは後二時間この小雨の中で舵を取っていなければならない
「あと何時間で着く予定だ!」
「わからない、でもあと30分で着くかもしれない」
さっきちらっと見えた『中野通り』の看板
ここから少し行った先にあるはずだ
俺は鮮明に覚えている
忘れたときなんてないぐらいに
「雨、やまねぇな」
「あぁ、全然やまない」
「湊、お前千沙の事どう思ってる?」
「千沙?千沙か・・・・・いい・・友達だ」
「・・・そうか」
「何だ行きなり」
「お前何も気が付いてねぇのな、湊、お前が女の子の話をするときいつもあいつ、少し本当に少しだけ、顔から笑みが消えるんだよ、それも毎回女の子の話をするときだけ」
「そんなん、わかるのか?」
「わかるんだよ、お前はいつも千沙の前にいただろ?それにあいつはいつも笑顔だ、そんぐらい気づいてやんねぇと・・・」
「千沙は・・・千沙は・・・・」
「お前のことが好きなんだよ」
「・・えっ?」
「はぁ、この話を聞いてもまだ気がつかなかったのかよ」
「あぁ、でもタッカも千沙のことが大好きなんだな」
「はっ!?えっ!?」
「そんなのわかるのはいつも千沙の顔を見てるやつぐらいだよ」
「はぁ、お前にばれるとか俺は情けねぇ奴だな」
「本当にタッカは情けない奴だね」
タッカはその言葉を「ふっ」と一笑して前をみる
どもそのうち、うとうとしてきて
いつのまにか寝てしまっていた
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