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人生で16度目を迎えることになった春、日が沈み始める夕暮れは、老若男女問わずあらゆる人たちに一日の終わりを告げるかの様にあらゆる物を照らしている頃にある町中のファミレスの中で一人の高校生、谷崎元弥は店のウェイターでさえも見逃すような片隅の奥の席で自分と同じ高校のクラスメートの下野真紀という女と共にしていた。
なぜ彼が彼女とこうしているのかそれはこの日の学校が終わった後、元弥はこの帰りに何をしに行くか考えるため放課後になったにも関わらず近く自分の席に座りこんで自分以外誰も居ないと思った教室に突如真紀が目の前に現れ、「この後あなたと少し話したいことがあるの、一緒に来てちょうだい」と愛想無しに誘われたので一弥は仕方なくその誘いに乗り今現在このファミレスで二人きりでいるのだ。
「ここに来てから20分も経っているけど俺をここに連れて来て何と話したいんだ?早く要件を言ってくれよあんた」
彼女の誘うがままにファミレスに着いたのは良かったが肝心の誘い主である真紀本人は元弥をここに連れては自分が話しだそうとしても中々話そうとせずそれが20分以上も続いてるためか元弥は少し痺れを切らし、自分が注文した冷めきったフィッシュアンドチップスを少し頬張りながら喋りだしたその姿を見た真紀はやっと本題を話そうとした。
「あなた、私が放課後の教室になんであなたと私以外のクラスメイトが全員居なくなった時に誘ったのは何でか理解できるわよね?」
元弥は少しだけ間を置き。
「ーーーーああ解るよ、お前が何で放課後の教室に俺だけしか居ない時に話をしたくて声をかけて、何でその教室で話をせずにこうやって二人で一緒にこういう所でメシを食いながら話しをしようとするのは軽い興味本位の恋愛とか友人関係の構築ではなく、外部には漏らさず俺たち二人だけでやる大事なものなんだろ」
ええっと真紀は答え、それを聞いた元弥は口を動かし続けた。
「それじゃ、まず第一に聞きたいのは何故なんの関係も親しみも無い俺なんかに頼んでるんだ、いつも学校で連るんでる奴らには頼んでないのか?」
「あなた、映画は好き?」
「まあ好きだけどそれがどうした?」
「それじゃあ、好きな作品を一つだけ言ってちょうだい、素直にお願い」
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