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元弥は真紀の顔を見て気づいた。毎朝整えてるのが分かる黒髪のロングヘアーに同年とは感じさせない大人びた雰囲気。それらを魅力的に引き立させる真珠の様な黒い瞳の奥には、何かの闘志が灯してるのを感じた。
元弥はその瞳を見つめたが、彼女が気づかないまま逸らして鞄の中身を見ながら漁りだしたら我に戻った。鞄の開け口から取り出した少しだけ厚みのある封筒に指差し。
「それを俺のブログに上げて、評価を貰って少し有名になりたいのか?でもこういうのは素直に賞に投稿したり、持ち込みとか小説のサイトに上げたりするのを勧めるぞ、だってそのほうがッーーーー」
「ちがう、そうじゃない」元弥の言葉を断ち、否定した真紀は声を若干大きく荒くなり、頼みの内容を言い出した。
「そういうことをしてもらいたいとかじゃないの、ーーーーッあなたはただ私が書いたやつをネットになんか載せなくていいから、それを読んで誰にもバレないまま私にアドバイズするだけで良いから」
「それ必要なことか?」
「まあっ自分が作ったものは本人でも分からない箇所はあるから、第三者に探したり、指摘して貰おうとすれば必要なことね」
話続けると自然に落ち着きを取り戻した真紀。片手に持ってる原稿を元弥の方に少しだけ差し伸ばし。
「 じゃあ、 これを自分の部屋で読んで頂戴」
元弥は「わかりました」とほんの少しだるそうに返答し、原稿を貰おうと手を出して掴もうとした瞬間。真紀が突然腕を曲げ、さらに上半身を後ろに引き下げて怯えた仔犬のように目を細くし、顔を右斜め下に大きく向いて 。
「やっぱ今は良いわ、今度これを見せるからその時になったらちゃんと見せるからそれで―ーッ」
「その時になったらって何時になるんだ」
「えっ」
「えっじゃない、何時になったら原稿を見せてくれるんだ、明日、明後日、それとも一週間経ってからか、時間ぐらい教えてくれよ」
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