1 俺が硬派の狩野勝利だ!

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カツは跳んだ。 恐るべき跳躍力で、自分の肩口はある高さの門を楽々飛び越えたのだ。 ガシャン!! 身を屈めてしっかり着地すると同時に、門は完全に閉まった。 「やった、間一髪セーフ。何とか遅刻せずに済んだぜ」 「アウトよ!1年4組、狩野勝利!」 綺麗で力強い声が響いた。 見上げると、長い髪を綺麗に巻き上げたモデル体型の美少女が立っていた。彼女はここ葉蘭学園の理事長の孫であり、生徒会長の久留島悠花である。 その後ろにカツ自身が命名したツリメとオタフクとカベの3人の女子がいて、会長を加えた生徒会4人衆が腕を組んでカツを見下ろしていた。 「何がアウトだ。ギリギリセーフだろ」 「貴方ね、校則を読んでいないの。本チャイムが鳴る前に教室にいないと遅刻なの。門が閉じる時間は本チャイムが鳴った後、分かるわね」 「そもそも何で先生じゃなくて、生徒会が校門の所で俺をチェックしているんだよ。教室で先生に怒られるのは分かるけど」 「昨日、約束していたはずです。次に遅刻したら、生徒会権限で罰則を強いると」 「これで4日連続です。やはり男を入れて失敗ですね。風紀の乱れが生じています」 ツリメがこめかみに指をあてて言った。 「創立以来初の不名誉の出来事ですぅ」 オタフクが手で頬を押さえて言った。 「会長、締めますか」 カベが指の関節を鳴らして言った。 「とにかく、罰を言い渡します。今日中に体育館の掃除をして下さい。翌日の朝、やったかどうか確認します」 「掃除?何だ、それだけ」 「但し、決して他の生徒の邪魔をしてはいけません。よろしいですね」     ▶
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