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カツは跳んだ。
恐るべき跳躍力で、自分の肩口はある高さの門を楽々飛び越えたのだ。
ガシャン!!
身を屈めてしっかり着地すると同時に、門は完全に閉まった。
「やった、間一髪セーフ。何とか遅刻せずに済んだぜ」
「アウトよ!1年4組、狩野勝利!」
綺麗で力強い声が響いた。
見上げると、長い髪を綺麗に巻き上げたモデル体型の美少女が立っていた。彼女はここ葉蘭学園の理事長の孫であり、生徒会長の久留島悠花である。
その後ろにカツ自身が命名したツリメとオタフクとカベの3人の女子がいて、会長を加えた生徒会4人衆が腕を組んでカツを見下ろしていた。
「何がアウトだ。ギリギリセーフだろ」
「貴方ね、校則を読んでいないの。本チャイムが鳴る前に教室にいないと遅刻なの。門が閉じる時間は本チャイムが鳴った後、分かるわね」
「そもそも何で先生じゃなくて、生徒会が校門の所で俺をチェックしているんだよ。教室で先生に怒られるのは分かるけど」
「昨日、約束していたはずです。次に遅刻したら、生徒会権限で罰則を強いると」
「これで4日連続です。やはり男を入れて失敗ですね。風紀の乱れが生じています」
ツリメがこめかみに指をあてて言った。
「創立以来初の不名誉の出来事ですぅ」
オタフクが手で頬を押さえて言った。
「会長、締めますか」
カベが指の関節を鳴らして言った。
「とにかく、罰を言い渡します。今日中に体育館の掃除をして下さい。翌日の朝、やったかどうか確認します」
「掃除?何だ、それだけ」
「但し、決して他の生徒の邪魔をしてはいけません。よろしいですね」
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