忘られ島

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 アキラは俺を迎えに来るために、親父さんから、軽トラを借りてきてくれた。 「向こうの仕事はどうさね。大阪だっけか?」  カセットテープ特有の若干のノイズが乗った一昔前の流行歌。そいつが流れる軽トラの車内、不意に聞かれる。 「ああ、東京な。それくらい、この綺麗な標準語で悟ってくれよ」  アキラの俺の顔を見て「東京って顔じゃねーなぁ」とけらけら笑い、つられるように俺も笑う。東京に行って友人も出来たし、遊びだって覚えたが、こんなつまらないことで笑い合えはしない。  走る軽トラの窓から見える景色は、俺がいた頃とあまり変わっていない。よく親父に買いにこさせられたタバコ屋の角を曲がると、漁師には不釣り合いな木造の日本家屋が観える。俺の記憶が正しければこれがアキラの家である。
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