忘られ島

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 夕餉はおばさんが獲れたての海の幸を天ぷらにしてくれ、アオリイカの刺身と一緒に出してくれた。親父さんが嬉々として、瓶ビールを俺に勧めてくる。やがておばさんは、酔い潰れて高鼾の親父さんを、無理くり起こして、部屋に連れていく。  俺は火照った体を冷ますため縁側に出る。風は微風、蚊取り線香の煙が香る。冷えすぎず暑すぎずとても心地よい。アキラはそこに七輪を置き、火を点け炭を焚べ、網の上にサザエを置いて「ちょっと火ぃ、見といてくれ」と、どこかに行ってしまう。  ばたばたと襖を開け行ったり来たりして、やがてじい様から貰った美味い酒とやらの瓶を持ってきて、俺のグラスにそれを注ぐ。 「あとこれ。卒業アルバム」  投げよこしたのは、第四十七期、佐伯島分校、卒業アルバム。ページを捲れば、あの頃の一学年数十人の小さなコミュニティ。体育大会で下の学年の弟にものの見事に敗れ、悔しそうな俺。  ぱちぱちと音を立てながらサザエが、いい匂いをさせる。そこにアキラは醤油を垂らし、その匂いだけで酒が進む。
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