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「俺もみんなと外の世界に行きたかったなぁ。真琴もそう言ってたよ」
真琴。アキラと俺と弟と、昔よく一緒にいたもう一人。
「なあ、明日の練習はしないのか?」
俺はもってきたギターケースを開け、使い慣れたフォークギターを出す。音叉をちーんと鳴らし、酔っ払った手元で、悪戯に調律。
「あ、あのミュージャンの曲頼む」
「いや、俺の曲聴けよ。バカ」
俺は島を出て、旅から旅を続け、様々なドラマを経てプロのミュージャンになった。わん、つー、すりーと、ギターのボディを叩きカウント。スリーフィンガーの簡単なアルペジオに、あの頃のノスタルジーを乗せ歌う。
もう一度言おう。俺は旅路の果てに夢を叶え、プロのミュージャンとなった。波の向こうに人を残して。
酒と自分が奏でるアルペジオの旋律が、俺にあの頃の自分を映し出す。
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