【第1章】世界への旅立ち

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【第1章】世界への旅立ち

_--真っ暗な闇から意識が徐々に覚醒していく。 _コンコン、と乾いた木を叩く音と共に聞き覚えのある声が私の耳に入っていく。 「イリス、起きているか?」 _私は小さく起きているよ、と呟くとそれが聞こえたのか父さんは満足そうに頷いて床を軋ませながら私の部屋を後にした。 _……なにか夢を見た気がする……がよく思い出せない。 _いくら考えても思い出せず、結局諦めて私は大きく欠伸をした。 _ふっ、と力を入れてだるい身体を起こし、また大きな欠伸をする。 _腰より長い自慢の黒髪が真っ白なシーツに広がり、その部分だけ黒い川を作っていた。 _窓の外を見ると丁度朝日が窓から差し込んでいる。空は雲一つない快晴だ。心地の良い風も陽の光と同時に部屋の中へ入ってくる。 _はぁ、今日はとても良い天気。と深い溜息を吐いた。 _いつもならこうやってしばらく朝の空気に浸っているのだが、今日はそうもいかない。 _今日は私にとっても父さんにとっても大切な日だ。 _ベッドから立ち上がると私が座っていた反動でベッドが少し弾む。 _私はクローゼットを開き中の服に視線を向ける。
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