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始めに
誰もが着物を着ていた時代。
今よりずっと緩やかな風習があった。
例えば吉原上がりの遊女。
遊女であったことを隠しもせずに生活し、それが街で普通に受け入れられていることに、海外から来たシーボルトが驚いたように、性を売ることに抵抗はなかった。
例えば妾奉公。
妾と言えば、今では聞こえ悪く聞こえるが、その時代は職業として認められ、誰からも後ろ指を指されることなく堂々とそれを生業にしていた女性たちが居た。
ある程度金がある男が妾を囲うことはごくごく当たり前のことで、妻もそれを黙認していた。
いやむしろ、受け入れてともに生活していることもあった。
そんな時代、口入れ屋には妾奉公するために職を求めて足を運ぶものが居た。
口入れ屋とは、今でいう所の人材斡旋業社であり、人探しをする何でも屋でもあり、とにかく探し物があると口入れ屋に人々は出入りしていた。
そんな時代のお話し。
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