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「まあ、急にそんなことを言われても信じられないのは当然です。それでは、これよりあなたに退行催眠をかけて、前世の記憶を引き出してみましょう。退行催眠はご存じですか?催眠により子供の頃へと徐々に記憶を遡っていくことによって、いつしか生まれる前―前世の記憶までをも思い出すことができるという催眠療法です」
「え……ええ。話に聞いたことは……」
心ここにあらずといった私の前で、カウンセラーは淡々とした口調でそう断ると、既にその怪しげな施術を行う態勢へと入っている。
「では、さっそく始めますので、そのまま気を楽にして、ソファーの背に体を任せてください。なあに怖がることはありません。むしろ心地良くなりますよ。さあ、もっとリラックスして、気持ちを楽に……」
私は耳触りのよいカウンセラーの声に従い、柔らかなソファーに深々と埋もれると、そのまま徐々に潜在意識の縁へと落ちていく……。
……そして、その日を境に、私はランスロット卿になったのだった――。
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