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メール受信者を見てみると、そこには『渡邊』という名前が出ていた。先ほど本人が入れたものだろう。
メールを開いてみると、制限ビッシリに文字が並んでいた。
『キョウハホントウニアリガトウホントウニダイジナモノダッタカラミツカッテヨカッタレンラクガナイカラナニカアッタンジャナイカトシンパイシタトシサンハイイヒトモットトシサンノコトヲシリタイトオモッテマスダカラワタシノコトモシッテホシイモットモット』
句読点が使われておらず、非常に読みにくいメール。当時は絵文字など主流していなかったし、メールも半角で128文字程度しか打てないという理由もあった。それにしても――
(さっき別れて、もうこんなメールを送ってくるなんて……)
さらに
――♪♪♪~♪♪~♪~♪~
再び流れるメール着信音。また渡邊さんからだ。
『ナンデデンワクレナカッタノワタシハズットマッテイタノニシンパイデシンパイデタマラナカッタナニカリユウガアルノイソガシカッタトイウノハホントウナノデモユルシテアゲルコウシテメールノ ヤリトリモデキルンダシコレカラハイツデモイッショニ』
――♪♪♪~♪♪~♪~♪~
『デモワタシヲオコラセナイホウガイイワタシハカットナルトジブンデモナニヲシテルノカワカラナクナルシデモトシハヤサシイカラソンナコトシナイヨネイマハナニシテルノオシエテヨナンデレンラクヲクレ ナイノナンデオシエテヨナンデダマッテルノネエドウ』
――――ガンッッ!!!
「――――――ッッ?!!」
突然、物凄い音が聞こえた。玄関のほうから……
(扉を……誰かに蹴られたような……)
気になって、覗き穴から外の様子を窺ってみる。しかし何も見えなかった。
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