2001年8月11日

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その後、1時間以上はその場から動けないでいた。 覗き穴をみれば、まだ彼女がいるのではないかという恐怖感で一杯になっていた。そんな中 ――ピンポーン…… 玄関のチャイムが鳴る音。渡邊さんか?! と警戒を強くしてみせるが、すぐに外から聞きなれた声がした。 「トシー、いないのか? 山本だけどー」 (ヤマさん?!) 急いで玄関を開けると、そこには確かにヤマさんの姿。急いで部屋の中へ招き入れると、焦った感じで訊ねてみた。 「外に! 女性の姿見えなかった?! 髪が長くて、背の高い人!」 「いや? そんな人見なかったけど……」 「そ……そっか……」 「どうした? 顔面真っ青だし汗までかいて……何かあったのか?」 「いや……うん、ちょっとね……」 額の汗を拭いながらリビングへ。床には先ほど放り投げたPHSが転がっていた。 それを拾い上げようとした瞬間……自分はある疑問を抱く。 (……そういえば……なんでPHSの電源がつきっぱなしになっていたんだ……? 自分は渡邊さんの事があるから、ずっと電源をオフにしていたはずなのに……) もしかして――玄関を睨みつけながら、自分はとんでもなく恐ろしい想像をしてしまう。 (忘れ物を取りに来たという渡邊さん……あの時消えていた玄関の鍵……そして電源がついていたPHS……もしかして……もしかして―――― 渡邊さんは……この部屋の合い鍵を……作った――?!)
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