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その後、1時間以上はその場から動けないでいた。
覗き穴をみれば、まだ彼女がいるのではないかという恐怖感で一杯になっていた。そんな中
――ピンポーン……
玄関のチャイムが鳴る音。渡邊さんか?! と警戒を強くしてみせるが、すぐに外から聞きなれた声がした。
「トシー、いないのか? 山本だけどー」
(ヤマさん?!)
急いで玄関を開けると、そこには確かにヤマさんの姿。急いで部屋の中へ招き入れると、焦った感じで訊ねてみた。
「外に! 女性の姿見えなかった?! 髪が長くて、背の高い人!」
「いや? そんな人見なかったけど……」
「そ……そっか……」
「どうした? 顔面真っ青だし汗までかいて……何かあったのか?」
「いや……うん、ちょっとね……」
額の汗を拭いながらリビングへ。床には先ほど放り投げたPHSが転がっていた。
それを拾い上げようとした瞬間……自分はある疑問を抱く。
(……そういえば……なんでPHSの電源がつきっぱなしになっていたんだ……? 自分は渡邊さんの事があるから、ずっと電源をオフにしていたはずなのに……)
もしかして――玄関を睨みつけながら、自分はとんでもなく恐ろしい想像をしてしまう。
(忘れ物を取りに来たという渡邊さん……あの時消えていた玄関の鍵……そして電源がついていたPHS……もしかして……もしかして――――
渡邊さんは……この部屋の合い鍵を……作った――?!)
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