禁じられた話

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――それから数日経過した。 あの日を境に、青木は全く学校に顔を出さなくなったらしい。 アパートに出向いても出てこないし、電話をかけても繋がらないとの事。 更に数日が経過して、こんな噂話をきいた。 『青木は何か事件を起こして、今は刑務所にいるらしい』 何の事件を起こしたのかは分からない。それが本当なのかどうかも定かではない。 だが青木のいたアパートの部屋は無人と化した。 青木は言っていた。隣の女性に淡い恋心を抱いているのだと。 そして執拗に水道水が美味いからと薦めていた。 井戸水を汲み上げていると言いだしたのは一体誰なのか。その後、警察はどのような捜査を行い、またどのような結論を出したのか…… 疑問は尽きない。だがもし、自分が想像している通りの事だったとすれば…… ヤマさんの身も、危なかったかもしれない。 アパートは今もそのまま残されている。 だが―― 屋上の扉だけは、硬く閉ざされていたらしい。
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