電話ボックス

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まだ大学生だった、あの頃。時間を持て余していた私は悪趣味ながらも心霊スポットを巡っていた。 向かったのは山口県某所。聞いた話だと、山の中に古びた廃墟がぽつりと建っており、そこで霊が目撃されるらしい。 物見遊山気分で同行してくれた『松井(仮)』は、今までに1度として恐怖体験をした事がなく、出来る事なら霊を見てみたいと楽しみにしていた。 松井の車にカーナビなどという高級なものは付いておらず、山口県の地図を見ながら問題の廃墟があるという山へ進んでいく。 「ここで間違いないのか?」 「噂程度の情報だから、分からないな。もしかしたら違う山なのかもしれないし」 松井を車に残して、山中を歩き回ってみるが廃墟など見えない。 「どう? あった?」 「いや、全然。なんにもない」 「別の場所に向かってみるか。現地の人から情報を聞いてみようぜ」
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