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「変って、なにがさ?」
「あの電話ボックス……誰かが入ってる」
別に電話ボックスを利用している人がいても、おかしくないだろと思いながら前方に目をこらす。
確かに……中に誰かがいた。自分は視力が悪いので、それが男性なのか女性なのかまでは分からない。
しかし松井には、しっかりと『それ』が見えているらしく……急にアクセルを踏み込む!
「ちょ……! おい、危ないって! どうしたんだよ?!」
「……なんなんだよ……! なんなんだよ、あれ……!」
様子が明らかにおかしかった。猛スピードで進む車は、どんどんと電話ボックスに近づいていく。
ここまで近づけば、さすがの自分でも中の人を確認する事が出来た。
若い女性、だった。そして自分は松井が言っていた『変』という意味に気付く。
女性は電話ボックスの中からバンバンと拳を打ちつけていた。目を大きく見開いて、こちらを見ながら。
一瞬思ったのは、電話ボックス内に入ったものの、扉が開かなくなっているのではないかという事。
実際に女性は「助けて」と言っている感じがした。
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