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「助けを求めてる! 何かあったんだ、車を止めよう!」
自分が松井に告げるが、一向に車の速度は落ちない。
「松井?!」
松井の様子は急変していた。顔面蒼白となり、額には汗の粒が出来ている。カチカチと小さく聞こえる音は、彼の歯が鳴っている音なのだろう。
「なんで……! あんなのが……沢山……!」
何を言っているんだ……? そう思った自分は、再び前方の電話ボックスを見る。すると――
見えてしまった。電話ボックスを囲むようにして回っている……数人の女の子の姿が。
数は4~5人。全員が紅い着物のようなものを着ていて、髪は短く切りそろえられている。
市松人形……そう形容するのが、一番分かりやすいかもしれない。
子供達は、ぐるぐると電話ボックスを囲んで回り続けている。その中心には、助けを求める女性の姿……
異様だった。現実にいながら、まるで悪夢の中にいるような感覚に陥ってしまう。
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