29人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほんと犬系でかわいい!」
赤坂が俺の頭をなでる。
「本物の犬みたいじゃんそれ」
「ふふ。かわいいから。ね?里菜も思うでしょ?」
赤坂が隣にいる女の子に聞く。
「嫌い」
「へ?」
その子の言葉に俺らの周りが凍りついたのがわかる。
「き、嫌いってなんだろう?」
こんなときも自分を変えることができないので、彼女にも好かれようと話しかける。
「夏井くんなんて嫌い」
「…えっ」
〝嫌い〟
そう言われたのは久しぶりで。
「里菜…」
俺を〝犬系男子〟にしたてあげた張本人。
幼稚園の頃のトラウマ。
初恋の子に言われた〝嫌い〟を思い出す。
「里菜と夏井くんって知り合いなの?」
「ねぇ、なんで俺のこと嫌いなの?」
赤坂の言葉も無視して里菜の腕を掴む。
「やだ!」
里菜が俺の手を払い除ける。
最初のコメントを投稿しよう!