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「ちょっと行ってくる」
里菜がいるところはなんとなくわかる気がした。
たぶんだけど。
俺は階段をどんどんどんとん上がっていく。
たぶんここ、屋上だ。
あいつが変わっていなければ高いとこにいるはず。
「…いた」
屋上のドアを開けるとその背中はあった。
「な、夏井くん」
俺の言葉に振り向いてしかめっ面をする。
「にゃあとか泣いてればいいのか?」
里菜に1歩近づく。
「は?」
当然のごとく里菜は呆れ顔。
「どうすればいい?犬系男子なんて作り物でしかないんだけど」
更に里菜に1歩近づく。
「…何の話よ」
いつぶりだろう。
里菜とこうして向き合ったのは。
「犬系男子、嫌いなんだろ?」
「違うよ。夏井くんが犬系男子だから嫌いなの」
「は?」
それって俺が猫系でも犬系でも関係ないんじゃねぇかよ。
俺のことが嫌いってなんなんだよ。
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