友人との語らい

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俺の名前は日向響(ひゅうがひびき)、三十六歳だ。 どこにでもいる三十六歳と何ら変わりは無い。 しかし世間一般的な三十六歳と比較した時、俺には明らかに変わっている点がある。 それは働いていない事だ。 所謂、無職。 今風に言うならば、自宅警備員といったところだろうか。 しかし俺はずっと無職な訳ではない。 先月、十六年間働いた会社を退職したばかりだ。 仕事は属にいう肉体労働。 長いことやっていたおかげか、筋肉質な体付きをしている。 俺は十六年前に実家を出て、今も住んでいるこのアパートで、初めての一人暮らしを始めた。 俺の毎日は何の代わり映えもしないものだった。 毎朝早く起きて、仕事に出かける。 そして帰ってきては飯と酒を飲み、眠りに就いた。 そんな平凡な日々を、ただ繰り返していた。 自分ではブサイクとは思わないが、出会いがなかったせいか、今だ独身貴族を気取っている。
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