惨劇

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「えっ!?清水の首は何処に居たんですか?」 俺は咄嗟に『居た』と言った。 自分でも気付いていなかったが、久しぶりに会った旧友とはいえ、俺にとって清水は、掛け替えのない存在だったのだろう。 それ故に『あった』ではなく、『居た』と、出たのだろう。 「先程、清水さんの首と思われる物を、持っていた人物を署に連行したそうです」 耳餃子は眉をへの字に曲げ、申し訳なさそうな顔をしている。 その顔は「散々疑ってしまい、申し訳ごさいませんでした」と、言いたげに見える。 だから俺も、「過ぎた事だ、気にしないでくれ」と言いたげな顔をしながら、別の事を尋ねた。 「そいつは誰なんですか?」 「捜査上の事なので、言えませんが、それが清水さんの首であるかどうか、ご確認願えないでしょうか?」 「…分かりました」 そして俺は白い壁に包まれている、何処かひんやりとした空気が流れている部屋に連れて行かれ、首だけとなった遺体と対面した。 それは紛れも無く、俺の親友である、清水の首だった。
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