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「あれ?響、顔どうしたんだ?」
貴明は俺の顔をまじまじ見つめ言った。
「ん?あぁこれか?三日ぐらい前に階段で転けたんだ」
俺は目元の青たんを擦りながら、痛がってみせた。
「そっか…また酒に酔って転んだんだろ」
「正解!」
俺は貴明の答えに親指を突き出した。
「まあ、とにかく飲もうぜ!」
酒を飲みたくてうずうずしている俺は、貴明からコンビニの袋を引ったくると、テーブルの上にばら蒔いた。
寂しかったテーブルの上を、色取り取りのつまみ達が鮮やかに染めて行く。
しかし、相変わらず貴明のつまみのセンスは抜群だ。
俺の大好きな魚肉ソーセージがたくさんありやがる。
俺は魚肉ソーセージの袋を勢い良く引きちぎると、宴の開始を知らせる乾杯の前とはいえ、我慢は体に悪いが如く、欲望に従い、ちまちまと食べ始めた。
「カンパーイ!」
貴明は苦笑いを浮かべ、缶ビールを俺に突き出した。
俺はキンキンに冷えた缶ビールを受け取ると、てへっとベロを出し、貴明と乾杯を交わした。
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