第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
眩しい太陽光を浴びながら僕は珊瑚の欠片でできた白い砂浜に、波の音をBGMにしてサンオイルを塗った身体で寝そべっている。 同じように砂浜に横たわっている友人が声をかけて来た。 「オイ! そろそろ時間だぞ」 腕時計で時間を確認してから返事を返す。 「あと5~6分で終了だな、帰ろう」 此処は火星の地下にあるバーチャル空間。 眩しい太陽も海も波が打ち寄せる白い砂浜も、全てコンピューターが作り出した偽物。 偽物と言っても、僕達が今体験していた海や砂浜なんて過去の記憶の中にしか存在しないけど。 人類は母なる惑星地球を汚し尽くした結果生存が困難になり、月や火星に移住して生き長らえているのだから。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加