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「いいか、この町の産業のためにもリーパだけは定着させてはならん。水際対策が肝心だ。幼木なら駆除は簡単だからな。ここまで、何か意見がある者はいるか?」
「大有りじゃあ」
農夫たちの後ろの方から聞こえた声に、ブランデの眉間に皺が寄った。
のそりと立ち上がったのは、モスグリーンのツナギとゴーグルを装着した農夫だ。
「ダックじじい、何故貴様がここにいる。常会は地区長だけのはずだろうが」
「アクセス権っちゅうやつじゃ」
ダックと呼ばれたツナギの農夫は近くにいた農夫から資料を奪い取ると目を通し、じろりとブランデを睨んだ。
「種が高い。苗もじゃあ。こりゃあ法外じゃな」
「あのな、今はリーパの話を」
「大体、何が協同組合じゃ。貴様ら魔学農協はなーんもせず、わしゃあらから収入を吸い取るだけじゃろうが。社蓄~、反~対~」
「おいじじい、口を慎め」
ブランデのこめかみに青筋が浮くのを間近で見てしまったマリスは、その恐ろしさに堪えて悲鳴を呑み込む。
だがダックは気にもしない様子で鼻を鳴らした。
「貴様らはちょいちょーいと魔法をかけるだけで、後は事務所でオサレな茶でも啜っとるんじゃろ!」
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