22章 闇の終焉(後編)

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・ ルナの切なく震える歓喜の想いがグレイの心に染み込む。 とても甘く、そしてあのじわりと胸を締め付ける痛みがグレイの美しい顔を苦し気に歪めた。 「頼む……泣くなっ…」 自分でどうしていいかわからなかった── グレイは後から後から溢れて零れる自分の涙に戸惑いながらルナの前で目を強く伏せる。 人間臭い あまりにも人間臭い── みっともない程にこの感情に溺れてしまう。 そしてそれは苦しいのに何故か温かくて心地良い── 驚いて目を見開いていたルナはグレイのその表情を前にして、思いきりグレイにしがみついていた── 「好きっ…」 「───……」 「好きっ──」 グレイの首にがむしゃらに抱き付いてルナは初めてその言葉を口にする。 グレイは涙に溺れた瞳を開き耳元で必死になってそう繰り返すルナに、また、顔を歪め眉を強く寄せた── 堰を切ったような荒々しいキスがルナを襲う。 それは驚く程に情熱的で、あの冷たく微笑するグレイからはとても想像できない程の熱を含んでいた。 「ルナっ…」 「……っ…」 熱い溜め息を吐きながら、グレイの唇がルナの首筋をまさぐるように這い回る。 激情に駈られた唇の愛撫にルナはされるがままに身を預けた。
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