第二話 2月

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グレープちゃんは、 マロンくんが 自分以外のメス犬と 仲良くしているのが面白くありません。 しかもマロン君が 仲良くしているのは グレープちゃんより どうやら年下のメス犬のようです。 マロンくんも、 近頃やることなすことに けちをつけてくる グレープちゃんにうんざりです。 小うるさいグレープちゃんと違って バナナちゃんの新鮮で 可愛らしいことといったらどうでしょう。 マロンくんの手紙ひとつに とっても喜んだり、 とっても驚いたり、 とっても悲しんだり、 それはそれは素直に愛らしく 反応するのです。 だから時々、わざといじわるな手紙を 送ってやります。 バナナちゃんは マロンくんの思惑通りに 悲しい気持ちの お返事を書いてきます。 マロンくんの想像と 同じ反応をするバナナちゃんの手紙は サディスティックな感情をくすぐります。 バナナちゃんを支配できたという この上のない満足感と達成感に包まれるのです。 マロンくんはだんだん、 思い通りにできない 年上のグレープちゃんが わずらわしくなってきました。 そして どうとでも自分色に染められそうな、 年下のバナナちゃんの方が 好きになってきました。
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