「死にたいって思ったんだ」

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そのままふらふらと下駄箱を目指していると、数学を担当に授業をしている山田先生と鉢合わせした。 「最近はよく授業をサボりますね」 僕が笑顔で挨拶をしようとすると、先に山田先生から話しかけてきた。話の内容は今日の授業のこことで、どうやら腹痛などの体調不良ではないと気がついたらしい。 「今日はお腹を痛めていたんですよ。昔からお腹だけは弱くって」 「それで3時間もトイレに籠っていたのですか?君は嘘が下手くそですね」 山田先生は長く伸ばした髪の毛を手の甲でひらりとひるがえすと、冷たい目で僕にそう言ってきた。もともと山田先生は感情の起伏が少ない人物なんだけど、今日はいつもよりさらに感情が消えているように見える。 冷たい眼差しはどこか冬を感じさせるほど僕の背中を震わせた。
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