「死にたいって思ったんだ」

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山田先生の本名は知らない。だけど年齢は20代後半だということは誰かに聞いた。学校はいつも電車で通勤しているみたいで、よく校門を歩く姿を見る。服装はちょっと地味だけど、それは色合いを地味にしているだけでよく見ると清潔で爽やかな印象を受けるため、シンプルでおしゃれにも見える。よく着ている服は襟の短いワイシャツにカーディガンで、下は黒のパンツスタイルか長めのスカートをよく見る。 性格は先程の通り冷たい印象があり、山田先生とは担任になって1年くらいの付き合いだけど、まだ笑った顔を見たことがない。むしろ表情を変える姿を見たことがないので、まるで鉄仮面を被っているようにも感じる。別に山田先生の笑顔が見たいという気持ちはないし、憧れるような感情もないけど、少しだけ気になる先生ではある。 僕はこのようにサボり癖のある人間なので、話しかけてくる先生は多い。でもなんだか上部だけの言葉しか聞こえてこないし、話しかけるのがノルマのように聞こえてしまうので、山田先生の冷たい言葉が逆に僕の気を引く。 それから僕は下駄箱へ向かった。大理石の床を抜けるとスノコの上に足を置く。乾いた木がカタカタと音を立てている。少し錆びている靴箱から靴を取りだし上履きから履き替える。学校指定のローファーであるため飾り気のない靴だけど、サイズはぴったりだし動きやすいため気に入っている。かかとは何度も踏んでいるから柔らかくなっているし、靴底もすり減っているけど、最近は履き慣れているので信頼がわいている。
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