第1章

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「路人さん。拭きますよ」  先ほど自分の粉を叩き落とすのに使ったタオルを持って、暁良は路人の傍に行った。 「ああ。お願い」  一瞬驚いたような顔をした路人だったが、のほほんと笑って床を示す。自分で片付ける気は一切ないらしい。 「これは捨てていいですか?」  床に置かれていたために濡れてしまった書類を、暁良は摘み上げて訊く。 「駄目。乾かして」 「――はい」  すでに前途多難。こっちを見ずにまたパソコンを操作する路人に、暁良は三日持てば奇跡だなと思うのだった。
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