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「お前はホンマに言い出したら聞かんやっちゃな……。どないする? 嫌やったら嫌て言えよ。こいつ本気やし、なんやったら今からどっか行こか?」
「……じゃあ、食べよっかな、一緒に」
稔としばらく見つめ合った後にそう言って恵美璃が笑う。
「やった!! マジでさ、ホントに、こいつのお好み焼きめちゃくちゃ旨いから! なんなら颯真と今藤も来たらいいじゃん? お好みパーティーしようぜ」
「いや、渉……それはさすがに……」
「お前はもうちょい気ィ遣え! そんなんだからいつまで経ってもど──」
「るっせぇ! 今はその話はいいんだっつの!」
童貞なんだよ、と続けようとしたに違いない今藤の口を塞いで睨み付けていたら、あはは、とまた華やかな笑い声が響く。
「ほんっと仲良いよね、四人。パーティー楽しそうだし、出来たらしたいかも」
「いやいや、エミ。ホント気ィ遣わないでいいから。ただでさえ渉だけでも邪魔だろにオレらまでとか」
なぁ? と颯真に話しかけた今藤に頷いた颯真が実にスマートに笑う。
「渉。今日はオレらと飯食お」
「え~……お好み焼き……」
「お好み焼きでもなんでも付き合うから。な? 悪いこと言わないから、ホントに邪魔しちゃダメ」
「あたしは別にいいのに……」
「良くないって。みんなでワイワイはいつでも出来るんだし、二人の時間もちゃんと大事にしなきゃね」
「さっすがイケメンは言うことが違うよな。渉、見習え」
「るっせぇよ……ちぇっ。お前らパーティーしなかったこと、絶対後悔するかんな。稔のお好み焼き、めちゃくちゃ旨いんだからな」
不貞腐れて椅子に座り直す。
「お前はホンマに……拗ねるな子供か」
わし、と頭をかいぐられてそっぽ向きながら、でもまぁ確かに飯食いながら稔と恵美璃がイチャイチャしてても気まずいか、なんて思い直す。
「……なぁでもさぁ。今度ホント、みんなでお好み焼きパーティーしような。……エミもさ、良かったら一緒に」
「うん。今日はなんかごめんね。今度お好み焼きパーティーする時絶対誘ってね。……じゃあ、稔、また後で」
「お~……」
バイバイ、と手を振って去っていく後ろ姿を見送って、冷めてしまったカレーを見下ろす。
「あぁあ~……いいなぁ、彼女。オレも欲しい……」
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