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「さすがにあたしも教室ですんのは初めてだわ。……最中に誰か来たら、責任取ってよね」
「……すまん」
強引に合意を取り付けて、エミのスカートの中に性急に手を入れる。
予想外に濡れそぼったそこは、既に柔らかい。
ギクリと胸が跳ねたのは、やっぱり渉とシていたのだろうかと疑ったからだけれど。
「……ねぇ、分かったかもしんないけどさ。……あたし、淋しいと誰とでもシちゃうタイプなのね。……でもさ、同じ学校とかだと面倒臭いことになったりするじゃない? だからずっと避けてたんだよね」
「……すまん」
「いいよ別に。まぁ稔ならいっかなって。……でさ。……時々さ、あたしから誘ってもいい?」
「…………それは……」
「稔がさ。シたい時、誘ってくれたらいいし。あたしがシたい時、あたしから誘うし。……ギブアンドテイクってことで、どう?」
見つめてくる目は、こんな状況にあってさえ真っ直ぐだ。
「……えぇんか、ホンマに……」
「いいよ。あたしのこと好きじゃない人がいいんだもん」
「……オレが言えた義理ちゃうけど……自分のこと、」
「大事にしろとか言ったら殴る」
「……」
「いいのよ。あたしは、こうすることで自分を守ってるんだもん」
するりと片袖を脱いだその二の腕の内側に、消えかけの傷がたくさんある。
「お前……」
「抱く気失せたなら言ってよ。何もなかったことにして帰るから」
毅然としながらも、揺れた目。
「きっとさ……似てるんだよ、たぶん、あたし達」
「……どこが」
「こんなことしたって満たされないって分かってるのに、一瞬だけでも目を逸らしたくて、逃げちゃうの」
「……」
「だって、一瞬だけでも楽になりたいんだもん」
ふい、と顔をそらして声だけで微笑ったエミを抱き寄せて
「……大事に抱く。えぇか」
「いいよ」
振り向いて笑った顔は、いつものエミの笑顔だった。
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