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「なに、気まずいの?」
「気まずい」
苦虫を噛み潰しながら呟けば、颯真が面白そうに笑う。
「そんなに素直な稔、初めてみたかも」
「うるさい、放っとけ」
「ごめんごめん。……今藤にも声かけとこうか」
「…………頼む」
「オッケー。……渉には? 自分で言う?」
「………………頼んだ」
「りょーかい」
笑いを含んだ声で頷いた颯真に肩をポンと叩かれた。
「ホントにさ……奇跡だと思ってるよ。……今も一緒にいられるのはさ、みんなのおかげだと思ってる。……だからさ……なんかあったら相談してよ、いつでも」
「……奇跡、か……」
オレにも起きる日は来るんかな、とまるで期待もせずに胸の内で呟いて溜め息交じりに笑うしかなかった。
*****
「ぇ? お好み焼きパーティー?」
「そう。さっき稔と会ってさ、明日やらないかって」
「明日……」
「……やだ?」
「やじゃないけど…………アイツやっぱり、オレと二人で飯食うのヤなのかな……」
しょんぼりと肩を落として呟いたら、颯真はなんだか驚いているような呆れているような複雑な顔して首を傾げた。
「なんでそんなこと?」
「昨日も電話で言ったじゃん。……なんか最近、オレと飯食う時、絶対女の子が来るって。……ホントはオレと飯食いたくないんじゃないかなぁって……」
こりゃ辛いわ、とかなんとかモゴモゴ呟いた颯真は、苦笑いしながらオレの頭をわしゃわしゃと撫でてくる。
「そんな泣きそうな顔しないでよ」
「だってさぁ? 飯食おって誘ったのオレからだし……アイツは流されただけってゆーか、断れなかったんじゃないかなって。……アイツさぁ、あんな見た目のくせにめちゃくちゃ優しくていいヤツじゃん? 今もさ、嫌って言えなくて困ってるんじゃないかなって……」
「わーっ、ちょっ……泣くなよ~」
「だってぇ……」
自分でも情けないとは思うけれど、親友だとさえ思っていた相手になんとなく距離を置こうとされた事実は胸に痛い。
友達になろうぜ、なんてこっ恥ずかしいことを言い合ったことは勿論ないけれど、大切な親友だと思っていたのに。
向こうはそんな風には思っていなくて、むしろ迷惑がっていたんだとしたら、申し訳ないやら恥ずかしいやら悲しいやら悔しいやらで頭も心もパンパンだ。
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