act.1 誇らしき友情

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 大学入学初日のガイダンスで近くに座っていたのが縁で、四人でつるむようになった。  やたらとイケメンでとんでもなくモテる割には彼女と全然長続きしない颯真。男女問わず満遍なく仲が良くて先輩後輩にも顔が広い今藤。ちょっとキツい感じがする切れ長の目にほんのり茶髪でチャラそうに見えるから、どちらかと言うとヤンチャな感じの女の子達によくモテてる稔。そうして、モテない訳じゃないのになんでだか友達以上に発展できない残念な童貞のオレ。──四人集まるとなんだかんだ女子に注目を浴びたりして、結構華やかな部類に入ると思う。  この華やかさに乗じて、大学生活でとにかく脱童貞、と決めた入学式の日から、結局丸2年経ってしまった。  大学生活3年目で未だに友達以上になった女子さえいない。やっぱりこの165㎝の身長と未だに中学生に間違われるような童顔がダメなのだろうか。  はぁぁ、と溜め息を吐きながら昼食に頼んだカレーをつつく。 「どしたの、渉」 「ん~……別にぃ~」  せっかく声をかけてくれたのに申し訳ないがイケメンの颯真には絶対分かりっこない悩みだし、ことあるごとに女子をお持ち帰りしているらしい稔に話せばからかわれるに決まっている。今藤はその点、からかわないからマシだけど、そのかわりに慰めてもくれない。 (ちぇっ……なんだよぉ)  勝手に不貞腐れてグリグリとカレールーに穴を開けていれば、 「こら、ちゃんと食え。食いもん粗末にすんな」  こちん、と稔に軽く殴られて、分かってるよ、と口を尖らせる。  しばらく黙々とカレーを食べていたものの、結局はまた大きな溜め息が漏れてしまった。 「は~……なんでオレ、モテないんだろ………」 「イキナリなんだそりゃ。誰かにフラれたか?」  面白そうな顔して笑った今藤を、そんなんじゃねぇよ、と不貞腐れて睨み付けても蛙の面に水だ。 「……でもさぁ、渉って結構女子から可愛がられてない? なんか、可愛い紳士って言われてるの聞いたことあるよ」 「ふぇっ!? 何それ?」 「ん~……なんか、絶対(なん)にもしてこないって。紳士だよねぇって言ってた」 「……ナニソレ……」  誉められてねぇよなそれ、とカレーに顔を突っ込みそうなほど落ち込んでいたら、向かい側から追い討ちが来た。
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