六月のある晴れた日に

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「左の掌を外側に向けて見せて下さい。」 フォトグラファーの言葉に従うと、彼は 二人の並んだ掌を写した。 「今度は甲を上に向けて見せて下さい。」 手元の撮影が終わると、賢一は理美を引き 寄せて唇を重ねた。予定にはなかった。 理美は驚いて身体が熱くなった。ようやく 離れると彼は理美を抱え上げて肩に乗せた。 海岸際のレストランの客が何人か撮影に 気がついて手を振っているのが見えた。 理美が小さく手を振って応じると、 「Congratulations!」 と祝福の言葉が飛んできた。
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