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「わたしも行く。」
「いいけど、それは別の問題だろ。」
「じゃあ訊くけど、結婚って一体何?」
「今頃何を言い出すんだ。」
「個人の意識の問題でしょう?
あくまでもプライベートじゃない。他人に
知らせる方法は幾つもある。わたしは
静かに当日を迎えたい。」
「…わかったよ。」
賢一は話を続けるのを諦めた。彼女は時に
頑として自分の主張を曲げない。譲る気の
ないとき、理美の質問は賢一が言葉に
窮するまで続く。いや、窮しても続く。
彼は遠い記憶を手繰り寄せた。が、思い出
すのは彼女が礼儀正しい後輩だった姿
ばかりだ。
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